
私募債を発行した際に、信用保証料を支払うことがあります。
信用保証料は、償還期限までの分全額を前払いすることが一般的です。
この信用保証料の会計処理には、次の二つの処理方法が考えられます。
まず一つ目の処理方法は、社債発行費として取り扱う方法です。
これは、信用保証料を、社債の発行を可能にするための費用ととらえる考え方によるものです。
この場合、発生時に一括費用処理するか、会社法上の繰延資産として資産計上し、償却する処理を行います。
次に、二つ目の処理方法は、前払費用として資産計上し、社債残高に応じて費用処理する方法です。
これは、信用保証料は、信用リスクを低下させ利率を抑えるためのものであり、社債利息の調整項目であるととらえる考え方によるものです。
この場合、発生時に前払費用として資産計上し、社債残高と期間に応じて、毎期社債利息へと振り替えていく処理を行います。
どちらの会計処理が正しいというわけでなく、その信用保証料の意図によって会計処理を決定する必要があります。
例えば、私募債を発行し、これを銀行に引き受けてもらうに当たり、信用保証協会の保証を70%つけることを条件とし、のこりの30%の保証を引き受け銀行が行うこととした場合を考えてみましょう。
信用保証協会の保証は、社債の引き受け条件なので、社債の発行を可能にするための費用です。
従ってこれは社債発行費となります。
一方、引受銀行の保証は、この保証があることにより、保証が無い場合と比べて社債利息は低く設定されているものと考えられます。
また、引受銀行自身が社債を引き受けることの対価として受け取る金額であり、社債利息と同視できる性質の費用ということができます
従って、これは前払費用計上して、社債残高に応じて費用処理する必要があります。
