固定資産の減価償却をスタートするタイミング

固定資産を取得した場合、減価償却費を計上していくことになりますが、この減価償却費はどのタイミングから計上するべきでしょうか。
税法上、減価償却は「購入した時期」からではなく、「事業の用に供した時期」からスタートすることとされています。
この、「事業の用に供した時期」をどのタイミングととらえるかは、明確な決まりがなく、実務上微妙な判断になることも少なくありません。
国税庁タックスアンサー上の「No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用 Q3」において、「事業の用に供した時期」は業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断すると記載があります。
やはり明確な記載ぶりではなく、判断に迷うことがありそうです。
一つの考え方としては、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をもって、「事業の用に供した日」とします。
例えば、機械等を購入した場合は、一般的に
①発注→②工場内に搬入→③据え付け→④試運転→⑤検収・使用開始
などといった流れで購入することになると考えられますが、「事業の用に供した日」となるのは、⑤の使用を開始して製品等の生産を開始した日になります。
なお、「事業の用に供した日」は、必ずしも資産を物理的に使用し始めた日というわけではありません。
例えば、賃貸マンションを建設した場合には、建物が完成し、現実の入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えることができます。
いずれにしても、減価償却開始のタイミング(事業の用に供した日)については、しっかりと説明できるようにしておくよう気を配る必要があります。(例えば該当の機械での生産の記録を残しておけば、これが事業の用に供した日を証明することになります。)
【参考】
No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用 Q3
