社会福祉法人会計基準の改正② -区分方法の変更-

(新)社会福祉法人会計基準によって、大きく変わった項目の一つが、区分方法の変更です。
これまでは、「会計単位」として社会福祉事業と公益事業、収益事業を区分して、その下に「経理区分」を設定していました。
これまでの区分方法のイメージ図は以下の通りです。

(新)社会福祉法人会計基準では、「事業区分」として社会福祉事業と公益事業、収益事業を区分して、その下に「拠点区分」を設けます。
さらに、拠点区分を細分化した単位として「サービス区分」を設けます。
(旧)社会福祉法人会計基準の「経理区分」は、主に一番最小の単位である「サービス区分」に対応するというイメージになります。
(新)社会福祉法人会計基準の区分方法のイメージ図は以下の通りです。

この中で、新しい考え方として検討しなければならないのが「拠点区分」の区分方法です。
「拠点区分」は、原則として、予算管理の単位であり、一体として運営される施設、事業所又は事務所をもって1つの拠点区分とします。
具体的には、法令上の事業種別、事業内容及び実施する事業の会計管理の実態を勘案して区分を設定します。
公益事業(社会福祉事業と一体的に実施されているものを除く)若しくは収益事業を実施している場合、これらは別の拠点区分となります。
実務上の「拠点区分」の区分の手順は以下の通りです。
① まず適用指針で列挙された次の(ア)~(シ)に該当する施設をそれぞれの施設ごとに独立した拠点区分として設定します。
この場合は、同一の場所で複数の施設を経営していたり、同一種類の施設を複数経営していたとしても、それぞれの施設を独立した拠点区分とします。
(ア)生活保護法第38条第1項に定める保護施設
(イ)身体障害者福祉法第5条第1項に定める社会参加支援施設
(ウ)老人福祉法第20条の四に定める養護老人ホーム
(エ)老人福祉法第20条の五に定める特別養護老人ホーム
(オ)老人福祉法第20条の六に定める軽費老人ホーム
(カ)老人福祉法第29条第1項に定める有料老人ホーム
(キ)売春防止法第36条に定める婦人保護施設
(ク)児童福祉法第7条第1項に定める児童福祉施設
(ケ)母子及び寡婦福祉法第39条第1項に定める母子福祉施設
(コ)障害者自立支援法第5条第12項に定める障害者支援施設
(サ)介護保険法第8条第25項に定める介護老人保健施設
(シ)医療法第1条の5に定める病院及び診療所(入所施設に附属する医務室を除く
② 次に、上記の(ア)から(シ)に列挙された以外の社会福祉事業及び公益事業については、事業所又は事務所を単位に区分します。
簡単に言うと、場所ごとに区分するというイメージです。
この場合は、同一の事業所、事務所において複数の事業を行う場合でも、同一拠点区分とすることができます。
その他、特定の事業の取り扱いや、社会福祉事業と公益事業を同一拠点と出来る場合などがありますが、ここでは割愛します。
このように設定した「拠点区分」が会計の最小単位となります。
すなわち、「拠点区分」ごとに資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表を作成することが求められます。
(「サービス」区分では、貸借対照表の作成までは求められませんので、収支(損益)のみ管理することになります。)
なお、本部は、「拠点区分」か、ある拠点の中の「サービス区分」として区分します。
どちらで区分するかは、法人の判断に任されています。
【参考】http://www.keieikyo.gr.jp/kaikei.html
