社会福祉法人会計基準の改正⑩ -金融商品の時価会計の導入-

「(新)社会福祉法人会計」により、金融商品の時価会計が導入されます。
金融商品の時価会計は、保有する有価証券のうち一定のものを時価評価することを求めている会計方法です。
具体的には、有価証券の保有目的に応じて、以下のような会計処理を行います。
①満期保有目的の債券→償却原価法
償却原価法は、取得価額と額面金額の差額を、取得から満期までの期間に配分する会計処理方法です。
取得価額と額面金額の差額は通常は利息の調整のために発生します。
したがって、各年度に配分される額は、受取利息勘定を使用して処理します。
額面金額よりも安く買った場合は利息のプラス調整となり、高く買った場合は利息のマイナス調整となります。
②満期保有目的の債券以外の有価証券で市場価格のあるもの→時価評価
③満期保有目的の債券以外の有価証券で市場価格のないもの→取得価額
満期保有目的かどうかは、あくまで法人の意志によって判断します。
購入時点で、満期まで持つつもりであれば、満期保有目的の債券に該当することになります。
また、積立資産として計上している有価証券であっても、その会計的性格が変わるわけではありませんので、時価会計の対象となります。
【計算例】資金仕訳は省略
利付債:額面10,000,000円 取得価額9,000,000円
償還期間10年
①満期保有目的の債券である場合(定額法)
取得時:(借方)投資有価証券 9,000,000 (貸方)現金預金 9,000,000
決算時:(借方)投資有価証券 100,000 (貸方)受取利息配当金収益 100,000※
※(10,000,000-9,000,000)÷10年=100,000
②満期保有目的の債券以外の有価証券で市場価格のあるもの(時価9,200,000円)
取得時:(借方)投資有価証券 9,000,000 (貸方)現金預金 9,000,000
決算時:(借方)投資有価証券 200,000 (貸方) 投資有価証券評価益 200,000※
※9,200,000-9,000,000=200,000
③満期保有目的の債券以外の有価証券で市場価格のないもの
取得時:(借方)投資有価証券 9,000,000 (貸方)現金預金 9,000,000
決算時:仕訳なし
【参考】http://www.keieikyo.gr.jp/kaikei.html
