スーツは必要経費になるか?

よくいただく質問に、スーツは経費で落ちないか?というものがあります。
少し会計や税金に興味がある社長さんや個人事業主さんであればほぼ100%ご質問いただきます。
結論から言いますとこれは難しいです。
100%ダメとは言い切れませんが、一般的には、プライベートでも着用することができるスーツを経費にすることは難しいです。
(作業服や安全靴のように仕事専用のものであれば経費で問題ありませんが)
この根拠となるのは、所得税法の条文です。
所得税法第45条では、「家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの」は必要経費にすることができない旨が規定されています。
「家事上の経費」は完全にプライベートな経費のことです。
これは当然として事業の必要経費にはできません。
また、「これに関連する経費」とは、事業とプライベートのどちらにも関連し、グレーな状態の経費のことです。
条文を素直に読むと、原則としては、グレーなものも必要経費にはできません。
ただし、所得税法施行令第96条で、家事関連費であっても、
「1.家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費」
については、必要経費にできると規定しています。
つまり、グレーな経費でも、事業に必要であり、事業にかかった部分を明らかに区分することができる場合は必要経費にできることになります。
では、スーツはどうでしょうか?
事業に使った部分を明確に区分することは通常はできません。
従って、必要経費とすることは難しい、という結論になります。
必要経費として認められるのは、会社のロゴマーク等が入っていて明らかに仕事でしか着用できないような場合や、芸能人の衣装等、特定の場合のみであると考えられます。
