繰延資産の税法上の取り扱い

税務会計上、繰延資産といったときには、「会社法上の繰延資産」と「法人税務上の繰延資産」の二種類の繰延資産があり、それぞれ取り扱いが異なります。
会社法上の繰延資産は、創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費の5つの繰延資産のことです。
簿記などを勉強するとよく出てくる繰延資産がこれにあたります。
会計上のあるべき処理はとりあえず置いておいて、税務上は、この会社法上の繰延資産は任意償却することができます。
つまり、一時に全額償却してもよいですし、全く償却しなくてもかまいません。
繰延資産の額が30万円だった場合、今期20万円、翌期10万円償却するというようなことも可能です。
これに対して、法人税法上の繰延資産は、法人税法の規定に沿った処理をしなければなりません。
法人税法上の繰延資産は、例えば、建物を賃借するために支出する権利金等(礼金等)、公共的施設の設置又は改良のために支出する費用(道路の設置負担金等)、共同的施設の設置又は改良のために支出する費用(商店街のアーケードの設置負担金等)等がこれにあたります。
法人税法上の繰延資産に該当する場合は、資産計上の上、償却計算し、毎期一定額ずつ損金(費用)に計上していきます。
償却期間は、それぞれの種類ごとに支出の効果の及ぶ期間が定められており、これに従うことになります。
