キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲

キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金の範囲は、現金及び現金同等物です。
現金には、単に紙幣や硬貨だけでなく、要求払預金も含まれます。
要求払預金とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、預金者の要求により一定の期間を経ることなく引き出すことができる預金、つまり、普通預金、当座預金、通知預金のことです。
定期預金は要求払預金には含まれません。
また、現金同等物とは、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資のことをいいます。
例えば、償還日までの期間が3ヶ月以内の短期投資がこれにあたります。
具体的には、満期日までの期間が3ヶ月以内の定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、売戻し条件付現先、公社債投資信託等が挙げられます。
株式は、運用期間が短期間であっても、通常はリスクが僅少といえませんので、現金同等物には含まれません。
また、担保に提供していたり、前払金専用別口預金など引出に一定の制限があるような預金も、容易に換金可能といえませんので、現金同等物には含まれません。(要求払されませんので、現金でもありません。)
なお、各企業の資金管理活動により投資が容易に換金可能か、価値変動リスクが僅少か、運用期間が短期か、などは異なります。
従って、最終的には、各企業ごとに判断して資金の範囲を決定します。(「取得日から満期日又は償還日までの期間が3ヶ月以内の短期投資」はあくまで例示です。)
この各企業ごとの判断を明らかにするために、資金の範囲に含めた現金及び現金同等物の内容を会計方針として記載するとともに、その期末残高と貸借対照表上の科目別残高との関係について調整が必要な場合は、その調整を注記する必要があります。
