「海外子会社からの受取配当金の益金不算入」制度による税効果会計


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「海外子会社からの受取配当金の益金不算入」制度は、平成21年4月1日以後、海外子会社からの受取配当金の95%について益金不算入とする制度です。


この制度により、親会社が税効果会計を行う際に、下記の計算式で計算した額の繰延税金負債を計上することとなります。

期末の留保利益×(5%×実効税率+外国源泉税率)


これは、将来的には、親会社は、子会社から配当金としてその留保利益を受け取ることになり、その際に課税関係(税負担)が生じることから、子会社の留保利益を一時差異としてとらえることによるものです。


海外子会社から配当金を受け取った際、「海外子会社からの受取配当金の益金不算入」制度により、配当金の95%分は益金不算入となりますが、残りの5%は益金となります。
益金となる5%分は親会社が配当を受け取った時に所得となり課税されることになります。
また、配当等に係る源泉所得税は損金不算入とされ、直接外国税額控除の対象外とされますので、その源泉税額全額が税負担となります。


従って、最終的に親会社が支払う予定の税額は、子会社から将来受け取るであろう全配当金額すなわち子会社の留保利益の5%相当額に対する税金とそれに関する源泉税です。
この将来の税負担額を計算しているのが、上記計算式であり、将来の税負担であるからこそ、繰延税金負債を計上する必要があるのです。


なお、配当により追加納付税金が発生する場合には、親会社が当該子会社の利益を配当しない方針をとっているなど、配当等に係る課税関係が生じない可能性が高いときは繰延税金負債の計上を行う必要はありません。


以下仕訳例(連結上の処理)を見ていきましょう。

【×1年(適用初年度)】
海外子会社(100%保有)の留保利益(換算後) 10億円
実効税率 35%
外国源泉税率 10%


(借方)法人税等調整額 117,500千円 (貸方)繰延税金負債 117,500千円(※)

(※)10億円×(5%×35%+10%)=117,500千円


【×2年】
当期純利益(換算後) 1億円
配当金(換算後) 2億円
実効税率 35%
外国源泉税率 10%


・配当金の受取により税金を支払ったので、一時差異が解消します。
 従って、前期末の繰延税金負債の取消の仕訳を行います。

(借方)繰延税金負債 23,500千円 (貸方)利益剰余金期首 23,500千円(※)

(※)2億円×(5%×35%+10%)=23,500千円


・当期純利益により増加した留保利益にかかる繰延税金負債を計上します。

(借方)法人税等調整額 11,750千円 (貸方)繰延税金負債 11,750千円(※)

(※)1億円×(5%×35%+10%)=11,750千円



【参考】税効果会計に関するQ&A 最終改正 平成25年2月7日 Q12




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