報酬に対する源泉徴収の概要①

会社や個人事業主が個人に対して報酬を支払う場合には、所得税の源泉徴収を行う必要がある場合があります。
源泉徴収する金額は、その報酬の種類によって異なりますが、例えば30,000円の報酬を支払うに当たり10.21%(復興法人特別税含む)の源泉徴収が必要な場合は、30,000円×10.21%=3,063円の所得税を差し引き、26,937円を実際に支払うことになります。
その後差し引いて預かった3,063円は、会社または個人事業主が国へ納付することになります。
原則として源泉徴収して預かった所得税の納付期限は翌月の10日までです。
これを1日でも遅れてしまうと、納めるべき源泉所得税の10%の不納付加算税が加算されてしまいますので、注意が必要です。(税務署からの指摘前に自主的に納付すれば5%の加算ですみます)
源泉徴収が必要な報酬の種類と、その源泉徴収する金額は、税法に列挙されています。
列挙された種類の報酬である場合のみ源泉徴収を行えばよく、それ以外の報酬については源泉徴収する必要はありません。
税法に列挙された源泉徴収が必要な報酬には、以下のようなものがあります
①原稿料や講演料など
②弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
④プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
⑤芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
⑥ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
⑦プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
⑧広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
なお、報酬の源泉徴収を行う場合には以下の点に注意する必要があります。
①謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬と同じであれば源泉徴収の対象になります。
しかし、報酬の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬に含めなくてもよいことになっています。
②金銭ではなく、品物で支払う場合も報酬に含まれますので、源泉徴収が必要です。
③報酬・料金等の額の中に消費税が含まれている場合は、原則として、税込金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、報酬の額と消費税の額が明確に区分されている場合には、税抜金額を源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。
【参考】http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2792.htm
