美術品は減価償却できない!

書画、骨董品などの美術品は、時の経過によりその価値が減少するものではないため(むしろ価値が増すこともあるため)、税務上減価償却を行うことはできません。
法人税法基本通達7-1-1では具体的に、次に掲げるようなものは原則として書画、骨董品などの美術品に該当するとしています。
(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2)美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
これらの条件に該当する資産を取得した場合には「工具器具備品」等として固定資産に計上し減価償却は行わなず、取得価額のまま保有し続けることになります。
ただし、その取得価額が1点で20万円未満の場合は、減価償却資産として扱うことができます。
また、絵画については1点で20万円以上であっても、1号当たり2万円未満のものであれば、減価償却資産として取り扱うことができます(1号は約22cm×16cm)。
美術品に該当するか否かについては、上記通達によっても判断がつきにくい点もありますが、キーワードとしては、「歴史的価値又は希少価値」を有するかどうか、「美術関係の年鑑等」に掲載されている作者であるかどうか、といったところで判断することになります。
また、よく話題に当たるのがリトグラフ(版画による複製)です。
リトグラフには、かなり高価なものもありますが、複製であること、作者の制作によるものではないことから、美術品には該当せず、減価償却をすることができると考えられています。
なお、中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、そもそも減価償却資産でない美術品には適用することはできません。
【参考】法人税法基本通達7-1-1
